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よいパンの3条件。
よい小麦を使う。
よく分解されている。
よく焼けている。

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自家培養発酵種のこと

ハルでは、4年ほど前にレーズンで起こした酵母エキスに、毎日小麦粉と水を掛け継いだ発酵種を使っています。もう少し具体的に言うと、レーズンの表皮にいた酵母菌と乳酸菌を採取し、彼らに毎日食べ物と水を与えて育てているというわけです。

2019年現在、ハルの発酵種には、1g当たり、酵母菌が約1千万個、乳酸菌が約6億個いるということがわかっています(筑波大学山岳研究センターで調べて頂きました)。

酵母菌は小麦から切り出した麦芽糖を食べて二酸化炭素とエタノールを生み出します。この二酸化炭素がパン生地をふくらませる気泡となります。乳酸菌は小麦のタンパク質を食べてアミノ酸その他有機酸、ペプチドなどに分解します。また、乳酸を生んで生地の酸性度を上げ、雑菌が発生しにくい環境を作ります。

伝統製法は、乳酸菌と酵母菌の力を借りたマジック。

パンの材料が小麦粉と水と塩だけなのにも関わらず、複雑なうま味、酸味などが生じるのは、微生物の働きのお陰なのです。

また、微生物が小麦をある程度分解してくれるおかげで、消化しやすいパンになるとも言われています。

微生物たちが小麦を分解し、消化しやすいパンに。

酵母の発酵原理が解明された1857年以来、発酵種の役割は徐々に工業的に培養されたパン酵母(イースト菌)に置き換えられてしまいますが、パン酵母によって作られたパンには、伝統製法と比べると乳酸菌が圧倒的に少なく、その結果、口当たりはよくても消化には負担をかけるものとなってしまっているようです。

これが、ハルが伝統製法を選択するいちばんの理由と言えます。

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