年長児男子、この1年で熱中した読み聞かせ本の覚え書き
あと2か月足らずで卒園する息子。6年も通った保育園とのお別れが寂しくもあり、小学校生活が楽しみでもあり。小さな頃から絵本の読み聞かせをしてきましたが、年長さんになってからは、小学生向けの本もけっこう読みました。中でも印象に残った本、これからも読み返したり、息子が自分でも読むだろうな、という本を5冊(5シリーズ)、ご紹介します!
住んでいるのは長野県上田市。8年前に東京から移住し、山と川に囲まれた自然豊かな環境で子育てをしつつ、地元の粉&伝統製法のパン屋をしています。
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目次
ルドルフとイッパイアッテナ
最初に読みきかせた、文字中心の本はコレでした。黒猫ルドルフが、うっかり飼い主の元を離れ、ノラ猫として生きていくまでの出会いと冒険が描かれています。幼いころの読み聞かせは、絵の説明をしていく感じですが、6歳にもなると、お話中心で、ちょっぴりイラストがあれば十分なんだな! と気づけた本。
続編の「ルドルフともだちひとりだち」「ルドルフいくねこくるねこ」「ルドルフとスノーホワイト」も、読んであげたいと思っています。
斉藤洋 著、杉浦範茂 絵、 講談社刊 274ページ
「エルマーとりゅう」シリーズ
9歳のエルマーが、年とった猫の話を聞いて、りゅうを助けに行く冒険物語。「おかあさんがねこにしつれいなことをしたので、いえでしてもかまわないとおもった」と、しっかり意志を持った9歳男子! さまざまな困難を、機転をきかせて乗り越えていきます。「ぼくもりゅうにのってみたいー!」と盛り上がりつつ、「エルマーのぼうけん」「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」3巻一気に読了。
ルース・スタイルス・ガネット 著、ルース・クリスマン・ガネット 絵
わたなべしげお 訳、子どもの本研究会 編集
福音館書店刊 各128ページ
「冒険者たち」シリーズ
「グリックの冒険」「冒険者たち」「ガンバとカワウソの冒険」の3部作は、私が小学生の時に、何度も何度も読み返した本。分厚くて重たいので、こちらはkindleで購入。改めて読み返し、息子と共に、ドブネズミのガンバたちの世界に引き込まれました。
著者の斉藤惇夫さんは、もともと編集者でいらして、とても寡作な方だということを、今になって知りました。薮内正幸さんの挿絵も、動物たちの表情や個性を繊細に描き分けられていて、この絵があるおかげで、ファンタジーがリアルに感じられます。読み始めるのをちょっとためらうほどのボリュームですが、これも「続き読んで! ガンバ読んで!」の声に応えて一気読み。
「ガンバとカワウソの冒険」が書かれた1983年、すでにニホンカワウソは絶滅した、と言われていて、当時子どもだった私たちに、斉藤さんはカワウソの姿を重ね合わせていらしたそうです。それは、今の私たちが、今の子どもたちを見る目線と、通じ合うところがあるのでは…と、考えさせられました。
斎藤惇夫 著、薮内正幸 絵、岩波書店刊 順に357ページ、394ページ、577ページ
「シートンさんのどうぶつ記」シリーズ
「シートン動物記」も、私が小学生の時に夢中で読んだ本。当時通っていた歯医者さんに置かれていて、診察待ちの間に全シリーズ読んだことを思い出します。写真のものは谷村志穂さんによる新訳。挿絵もあり言葉もやさしく、今現在ちょうど良いけれども、いずれ完全訳の方が欲しくなるかも、と思い図書館で借りました。
上でご紹介した3シリーズと違い、動物たちは人間の言葉を話さないのですが、野生の生きものたちの誇り高い生き方に、憧れ共感する姿勢で描かれています。短くまとめられていますが、心に残るお話ばかりです。
1 ラグとおかあさんウサギ、おかしな子ぐま、ジョニー
2 10わのコガモのぼうけん、オオカミの王さま、ロボ
3 スプリングフィールドむらのキツネ、ぎんのしるしのあるカラス
アーネスト・トムソン・シートン 著、谷村志穂 訳
集英社クリエイティブ刊
「兎の眼」「天の瞳(幼年編)」
まずは「兎の眼」。虫好きの息子は、ハエを飼っている小学校一年男子、鉄三に感情移入しつつ真剣に聞いていました。文中で出てきた内容を受けて、ふとした時に「ねえ、僕の眼はきれい?」と聞かれたときには、ハッとさせられました。「ちょっと難しいかな? と思ったけれど、ちゃんと心に届いてる!」と。でも親の方は、新米教師小谷先生の方に感情移入してしまい、泣けて困ります(笑)
次に読んだ「天の瞳」の主人公、活発な倫太郎は、息子にとっては鉄三以上に共感できたようで、倫太郎がいたずらするたびに「あはははは…!」と、涙が出るほど笑っていました。「幼年編Ⅰ」は、保育園から小学校への環境の変化と、子どもたちのとまどいも描かれていて、小学校入学直前の息子にはぴったりの物語。こちらも大人向けの難しい部分もありましたが、息子の様子を見て適宜飛ばしたり言葉を補ったりしながら読みました。
「天の瞳」は、灰谷さんのライフワークとなった作品群で、幼年編Ⅰ・Ⅱ、少年編Ⅰ・Ⅱ、成長編Ⅰ・Ⅱ、あすなろ編Ⅰ・Ⅱ、そして絶筆となった最終話へと続く9部作。それぞれ息子に合ったタイミングで読んであげられたら…! 成長編あたりからは、さりげなく本棚に入れておけばいいのかな、なんて思っています。
灰谷健次郎 著、角川文庫刊 順に339ページ、384ページ
本を読む余力と働き方
振り返ってみると、「案外よく読んだなぁー!」と思います。子どもに本を読むタイミングはだいたい夜、すべての家事や明日の準備を終えて、お布団にもぐりこんでからなので、余力がないとなかなかできないもの。この一年、沢山読んであげられたのは、やっぱり「働き方改革」したからかな! と思いました。
パン屋の働き方改革については、こちらのブログもぜひ↓
https://ishigamapan-haru.com/work-style-reform/
ちょっと背伸びの本選びは、以前、須賀敦子さんがエッセイで子どもの頃の読書体験のことを書かれていて、須賀さんの叔母さん(ちょっと、記憶があやふやです)が「わざと、一学年上の子ども向けの本を買ってくれたのが嬉しかった」と書かれていたのが、印象に残っていたため。
本って、「読んだらすぐにこんな良いことが!」なーんてことはないけれど、きっと心の栄養になると思います。日々のごはんを作るのと同じように、これからも一緒に味わって楽しみたいと思います。